⑤豆は不思議なエネルギー源・栄養・機能性
豆は不思議なエネルギー源
小さな何の変哲もないような豆ですが、なんとも不思議なエネルギー源が充満していることをご存知ですか?
その成分はタンパク質や炭水化物、ミネラル、ビタミン類が豊富で、エネルギーが濃縮されているんですね。豆一粒は、いかなる食べ物より滋養が濃厚で、米の数百倍にも匹敵するといわれています。
人類の歴史と共に、豆はあらゆる方法で食べ続けられてきました。古くて新しい未来のヘルシー食品、それが豆類です。
豆類の栄養価
豆類には、良質のタンパク質や炭水化物をはじめ、ミネラルやビタミンが豊富に含まれています。
さらに、これらの栄養成分に加えて、生活習慣病の予防にも効能があると言われているポリフェノールが多く含まれています。
こうしたひと粒、ひと粒に込められた栄養成分や機能性成分をあらためて見直してみると、私たちにとって欠かすことのできないすぐれた食材であることがわかります。
1.栄養成分
~炭水化物はエネルギー源~
小豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆などは、全栄養成分のうち炭水化物が50%以上を占めています。その炭水化物のなかでも重要な役割を担っているのが「でん粉」です。この「でん粉」が消化されてブドウ糖になり、脳や神経、筋肉などの重要なエネルギー源になっています。
~良質なタンパク質が豊富~
タンパク質は、20種類のアミノ酸からできています。そのうち体内で合成できないために、食事を通じて摂らなければならない9種類を「必須アミノ酸」と言います。必須アミノ酸は1種類でも一定量に満たないものがあると、それが制限要因(アミノ酸スコア)となって、体内でのタンパク質合成が効率的に行われません。そうしたことから、必須アミノ酸がバランスよく含まれているほど良質なタンパク質といわれています。大豆をはじめ小豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆などには、アミノ酸スコアの高い良質なタンパク質が豊富に含まれています。
~ミネラルをまとめて摂取~
豆類には、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれているため、不足がちなミネラルをまとめて摂取することができます。
〔カリウム〕
カリウムは、野菜や豆類、果物など幅広い食品に含まれています。なかでも豆類はカリウムに富んだ食品の代表格といえます。カリウムは、細胞内外液の浸透圧を維持し、細胞内外の水分や各種成分のやりとりを調整するなど、生命を維持する上で重要な役割を担っています。高血圧の原因となる過剰なナトリウムを排出する機能もあります。
〔カルシウム〕
豆もカルシウムに富む食品の一つです。健康な骨や丈夫な歯を形作るだけでなく、神経の興奮をしずめて精神を安定させる働きや、筋肉を収縮させて心臓の規則正しい鼓動を保つなど重要な役割を担っています。
〔マグネシウム〕
マグネシウムは、ナッツ類、海草などのほか豆類にも多く含まれているミネラルです。カルシウムによる筋肉の収縮を調整するとともに、神経の興奮をしずめ精神を安定させる働きを持っています。また、動脈硬化を予防したり、正常な血圧の維持にも貢献しています。
〔鉄〕
豆類は、鉄分を多く含む食品です。鉄は赤血球のヘモグロビンの構成成分となり、体内各器官への酸素の運搬・供給にかかわっています。また、筋肉中に含まれるミオグロビンの成分となり、血液中の酸素を筋肉に取り入れる役割も果たしています。鉄が不足すると、めまい、息切れなど貧血の症状が現れるほか、神経過敏、集中力・思考力の低下、肩や首のこり、冷え性などの原因にもなります。
~ビタミンもたっぷり~
豆類には、炭水化物、脂質のエネルギーへの転換やタンパク質の分解・合成など、体内で非常に重要な役割を担っているビタミンB群が豊富に含まれています。
〔ビタミンB1〕
豆類は、ビタミンB1を多く含む代表的な食品の一つです。体内で糖質を分解してエネルギーを発生させる際、酵素の働きを助ける役割を果たしています。このため、ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーとしてうまく利用できず、疲れやすくなったり、手足のしびれ・むくみ・動悸、食欲不振などの初期症状を起こします。また、イライラしたり協調性がなくなるなど精神状態が不安定になるといわれています。
〔ビタミンB2〕
豆類には、ビタミンB2も多く含まれています。脂質のエネルギー転換や細胞、皮膚、紙、爪などの再生を助け、成長を促進し、脂質の摂取量が多い人ほど不足のしやすいビタミンです。ダイエットなど食事制限をしている場合も不足しがちになりますが、肥満の原因である脂肪をスムーズに代謝させることから、十分摂取するよう心がける必要があります。
〔ビタミンB6〕
ビタミンB6は魚類、肉類等に多いビタミンですが、豆類にも比較的多く含まれています。タンパク質が体内で分類・再合成される際、足りないアミノ酸があれば他のアミノ酸から作り替えられます。この際に不可欠なのがビタミンB6で、健康な皮膚、髪、歯を作り、成長を促進します。また、脂質の代謝や赤血球のヘモグロビン合成に関与するとともに、免疫機能を正常に保つ上で必須の栄養素です。
2.機能性成分
~食物繊維の宝庫~
小豆やいんげん豆には、ごぼうの約3倍もの食物繊維が含まれています。その他の豆類もごぼうを凌いでおり、豆類は食品の中でも際立って豊富な食物繊維を含んでいます。食物繊維は、人の消化酵素では分解されない成分で「不溶性」「水溶性」に大別されます。豆類には、大腸がんの予防効果のある「不溶性食物繊維」とコレステロールの低下作用のある「水溶性食物繊維」、その両方が含まれています。
~多彩なポリフェノール~
ポリフェノールと呼ばれる物質は、たいへん数多くの種類がありますが、小豆や金時豆などには、カテキングルコシド、アントシアニン、フラボノイドなどのポリフェノールが豊富に含まれています。特に小豆にはポリフェノールの多い食品の代表格である赤ワインの1.5倍~2倍程度のポリフェノールが含まれています。また、ポリフェノールはいずれも強い抗酸化作用をもっているため、健康に様々な悪影響を及ぼす活性酸素を除去し、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の増強、抗アレルギー作用、血管の保護、発がん性物質の抑制などの効果があるといわれております。
(資料提供/全国豆類振興会、公益財団法人日本豆類協会)