③佃煮の製造方法

佃煮の製造方法

 佃煮製品は原料の原形のまま或いは食べ易い形にした単一品と混合品とがありますが、いずれも日本人の嗜好に合わせて原料素材と醤油の風味を生かしたもので、甘味を程よく調和させた調味液が素材によくにじみ込むまで丹念に煮熟又は焼煮して原料素材中の水分が調味液中の塩分、糖分その他の調味料と入れかわるまで煮詰め、保存性を高めた調理加工食品です。

以下が代表的な佃煮製造方法です。

〔浮かし煮〕(うかしに)

浮かし煮は、生鮮原料や形が崩れやすい材料で作る場合に適した製造方法です。事前に原料をよく選別、洗浄し水を切っておきます。水、寒天、醤油、砂糖、水飴など調味した煮熟用の煮液を釜に入れて加熱、沸騰させます。沸騰した煮液のなかに前処理済の原料を投入して一定時間煮た後、これを別の容器にすくい上げ、ただちに冷却用の盤またはコンベアに薄く広げて乗せ、送風機、扇風機などで風を送って冷却する製造方法です。

〔煎り付け煮〕(いりつけに)

昆布やスルメ、干しえび等の乾燥材料やいかなご、わかさぎ等の比較的形が崩れにくい材料で作る場合は、煎り付け煮が適しています。

事前に配合調味した糖度の高い調味液を、一定の少量釜に入れ、加熱沸騰させ、その中へ前処理済の原料を投入して焦げつくことのないよう手早くかき混ぜながら煎炊きします。こうして液が全部の原料に浸透したとこで、別の容器にすくい取る方法で、冷却は浮かし煮の場合と同様に行います。

〔浸漬法〕(しんしほう)

煮豆の場合はほとんどこの方法が採用されておりますが、佃煮でも農産原料品、昆布などでこの方法が一部使われております。

ボイル、水炊きなどによって充分水分を含ませ軟化させた原料を、熱い調味液のなかに漬け込んで煮熟したと同じ効果を得る方法です。一定時間浸漬することによって、原料中の水分と漬込液中の塩分、糖分その他が入れ替わって味がつきます。

 

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