煮豆とは!

煮豆のトップページ1豆類は古くから煮豆、和菓子など日本の伝統的食文化を支える食材として親しまれてきました。煮豆というと甘く煮たものを思い出しますが、煮た豆全般を指し、甘いもの、塩味のもの、しょうゆ味の3種類が出回っています。甘煮といっても、ご飯と食べてもちょうど良い甘さに仕上げるのがコツです。とはいえ、砂糖の持つ保水性や保存性を生かした料理のため、本来は甘めに煮るのが基本です。ところが時代と共に甘さ控えめが好まれるようになり、しょうゆや塩味の人気が高まる傾向にあります。そして最近注目されているのが、料理の材料となる水煮や蒸し煮です。日々忙しい子育て中のお母さんにとって、和えるだけ、加えるだけ、良質のタンパク質や日常の食生活で不足しがちな各種ビタミン、ミネラルや食物繊維などの栄養をバランス良く補うことが出来ます。

そして豆の用途も古来の煮豆、餡のほか、最近では、サラダやスープ、シチュー、揚げ物といった豆を活用した新しいレシピが開発され、現代人ぴったりのヘルシーな食品として見直され、小さな豆から生まれる大きなパワーが、今、世界的にも注目を集めております。

煮豆の商売の始まり

煮豆が商売として始まったのは1817頃といわれております。この頃の江戸町民は、食べることをかなり楽しんでいたようです。江戸市中には茹で豆を行商したり、いんげん豆の煮豆を売る店が繁盛していました。

煮豆の商いが企業化されだすのは、明治の初期。この頃、東京の江東区で数名の売子を使用していた武内氏なる方が、空豆の皮を剥いて砂糖で調味したものを「開化いんげん」と名づけて、数人の行商によって市中に売り出したのが煮豆の企業化への始まりと言われております。

「開化いんげん、食べてみれば文明開化の味がする。」とだれ言うことなく、茶請け(お茶を飲む時のお菓子)として歓迎されたようです。

明治初期の煮豆売り

明治初期の煮豆売り

昭和初期の煮豆売り

昭和初期の煮豆売り

(資料提供/株式会社日本食品新聞社)

 

 

 

豆科(豆の分類)

ササゲ属

小豆➠普通小豆、大納言、白小豆
ささげ➠赤ささげ、黒ささげ、白ささげ

インゲン属

いんげん豆➠手亡、金時豆、うずら豆、とら豆、大福豆
べにばないんげん➠花豆、白花豆、紫花豆

エンドウ属

えんどう豆➠青えんどう豆、赤えんどう豆、白えんどう

ソラマメ属

そらまめ➠大粒種、中粒種、小粒種

ダイズ属

大豆➠黄大豆、青大豆、黒大豆(黒豆)、丸大豆、平大豆

ラッカセイ属

落花生

ヒヨコマメ属

ひよこ豆(ガルバンゾー)➠大粒種、小粒種

ヒラマメ属

ひら豆(レンズ豆)➠大粒種、小粒種

 

煮豆の種類

煮豆

青豆、あさり豆、小豆、いんげん豆、うずら豆、うぐいす豆、海老豆、えんどう豆、お多福豆、かやく豆、金時豆、黒豆、五目豆、昆布豆、三色豆、白うずら豆、白金時豆、白花いんげん豆、大豆、茶花豆、とら豆、花豆、ひじき豆、ふき豆、ぶどう豆、紫花豆、野菜豆

 きんとん

豆きんとん、栗きんとん

〔代表的な煮豆製品〕

金時豆 味のよさ、食感のよさで大人気。 煮豆の定番、金時豆。

金時豆
味のよさ、食感のよさで大人気。煮豆の定番、金時豆。

黒 豆 お節料理の定番。食べはじめたら止まらなくなる美味しさです。

黒 豆
お節料理の定番。食べはじめたら止まらなくなる美味しさです。

黒豆の蒸し煮 そのまま食べても止まらないおいしさ。黒豆の蒸し煮。

黒豆の蒸し煮
そのまま食べても止まらないおいしさ。黒豆の蒸し煮。

白花豆 大粒で、ほくほくした味わい。白花豆の煮豆。

白花豆
大粒で、ほくほくした味わい。白花豆の煮豆。

大豆の水煮 和えたり、汁物に加えたりと、常備しておくと便利な大豆の水煮。

大豆の水煮
和えたり、汁物に加えたりと、常備しておくと便利な大豆の水煮。

ひじき豆 ひじきと豆のサラダ。こんにゃくも入ってヘルシーで栄養満点。

ひじき豆
ひじきと豆のサラダ。こんにゃくも入ってヘルシーで栄養満点。

 

煮豆の製造方法

煮豆の場合はほとんどが「浸漬法」(しんしんほう)が採用されております。ボイル、水炊きなどによって充分水分を含ませ軟化させた原料を、熱い調味液のなかに漬け込んで煮熟したのと同じ効果を得る方法です。一定時間浸漬することによって、原料中の水分と漬込液中の塩分、糖分その他が入れ替わって味がつきます。

 

クリック→ 煮豆(黒豆)の製造工程(pdf書類)

豆は不思議なエネルギー源

小さな何の変哲もないような豆ですが、なんとも不思議なエネルギー源が充満していることをご存知ですか?

その成分はタンパク質や炭水化物、ミネラル、ビタミン類が豊富で、エネルギーが濃縮されているんですね。豆一粒は、いかなる食べ物より滋養が濃厚で、米の数百倍にも匹敵するといわれています。

人類の歴史と共に、豆はあらゆる方法で食べ続けられてきました。古くて新しい未来のヘルシー食品、それが豆類です。

豆類の栄養価

豆類には、良質のタンパク質や炭水化物をはじめ、ミネラルやビタミンが豊富に含まれています。

さらに、これらの栄養成分に加えて、生活習慣病の予防にも効能があると言われているポリフェノールが多く含まれています。

こうしたひと粒、ひと粒に込められた栄養成分や機能性成分をあらためて見直してみると、私たちにとって欠かすことのできないすぐれた食材であることがわかります。

1.栄養成分

~炭水化物はエネルギー源~

小豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆などは、全栄養成分のうち炭水化物が50%以上を占めています。その炭水化物のなかでも重要な役割を担っているのが「でん粉」です。この「でん粉」が消化されてブドウ糖になり、脳や神経、筋肉などの重要なエネルギー源になっています。

~良質なタンパク質が豊富~

タンパク質は、20種類のアミノ酸からできています。そのうち体内で合成できないために、食事を通じて摂らなければならない9種類を「必須アミノ酸」と言います。必須アミノ酸は1種類でも一定量に満たないものがあると、それが制限要因(アミノ酸スコア)となって、体内でのタンパク質合成が効率的に行われません。そうしたことから、必須アミノ酸がバランスよく含まれているほど良質なタンパク質といわれています。大豆をはじめ小豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆などには、アミノ酸スコアの高い良質なタンパク質が豊富に含まれています。

~ミネラルをまとめて摂取~

豆類には、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラルが豊富に含まれているため、不足がちなミネラルをまとめて摂取することができます。

〔カリウム〕

カリウムは、野菜や豆類、果物など幅広い食品に含まれています。なかでも豆類はカリウムに富んだ食品の代表格といえます。カリウムは、細胞内外液の浸透圧を維持し、細胞内外の水分や各種成分のやりとりを調整するなど、生命を維持する上で重要な役割を担っています。高血圧の原因となる過剰なナトリウムを排出する機能もあります。

〔カルシウム〕

豆もカルシウムに富む食品の一つです。健康な骨や丈夫な歯を形作るだけでなく、神経の興奮をしずめて精神を安定させる働きや、筋肉を収縮させて心臓の規則正しい鼓動を保つなど重要な役割を担っています。

〔マグネシウム〕

マグネシウムは、ナッツ類、海草などのほか豆類にも多く含まれているミネラルです。カルシウムによる筋肉の収縮を調整するとともに、神経の興奮をしずめ精神を安定させる働きを持っています。また、動脈硬化を予防したり、正常な血圧の維持にも貢献しています。

〔鉄〕

豆類は、鉄分を多く含む食品です。鉄は赤血球のヘモグロビンの構成成分となり、体内各器官への酸素の運搬・供給にかかわっています。また、筋肉中に含まれるミオグロビンの成分となり、血液中の酸素を筋肉に取り入れる役割も果たしています。鉄が不足すると、めまい、息切れなど貧血の症状が現れるほか、神経過敏、集中力・思考力の低下、肩や首のこり、冷え性などの原因にもなります。

~ビタミンもたっぷり~

豆類には、炭水化物、脂質のエネルギーへの転換やタンパク質の分解・合成など、体内で非常に重要な役割を担っているビタミンB群が豊富に含まれています。

〔ビタミンB1〕

豆類は、ビタミンB1を多く含む代表的な食品の一つです。体内で糖質を分解してエネルギーを発生させる際、酵素の働きを助ける役割を果たしています。このため、ビタミンB1が不足すると、糖質をエネルギーとしてうまく利用できず、疲れやすくなったり、手足のしびれ・むくみ・動悸、食欲不振などの初期症状を起こします。また、イライラしたり協調性がなくなるなど精神状態が不安定になるといわれています。

〔ビタミンB2〕

豆類には、ビタミンB2も多く含まれています。脂質のエネルギー転換や細胞、皮膚、紙、爪などの再生を助け、成長を促進し、脂質の摂取量が多い人ほど不足のしやすいビタミンです。ダイエットなど食事制限をしている場合も不足しがちになりますが、肥満の原因である脂肪をスムーズに代謝させることから、十分摂取するよう心がける必要があります。

〔ビタミンB6〕

ビタミンB6は魚類、肉類等に多いビタミンですが、豆類にも比較的多く含まれています。タンパク質が体内で分類・再合成される際、足りないアミノ酸があれば他のアミノ酸から作り替えられます。この際に不可欠なのがビタミンB6で、健康な皮膚、髪、歯を作り、成長を促進します。また、脂質の代謝や赤血球のヘモグロビン合成に関与するとともに、免疫機能を正常に保つ上で必須の栄養素です。

2.機能性成分

~食物繊維の宝庫~

小豆やいんげん豆には、ごぼうの約3倍もの食物繊維が含まれています。その他の豆類もごぼうを凌いでおり、豆類は食品の中でも際立って豊富な食物繊維を含んでいます。食物繊維は、人の消化酵素では分解されない成分で「不溶性」「水溶性」に大別されます。豆類には、大腸がんの予防効果のある「不溶性食物繊維」とコレステロールの低下作用のある「水溶性食物繊維」、その両方が含まれています。

~多彩なポリフェノール~

ポリフェノールと呼ばれる物質は、たいへん数多くの種類がありますが、小豆や金時豆などには、カテキングルコシド、アントシアニン、フラボノイドなどのポリフェノールが豊富に含まれています。特に小豆にはポリフェノールの多い食品の代表格である赤ワインの1.5倍~2倍程度のポリフェノールが含まれています。また、ポリフェノールはいずれも強い抗酸化作用をもっているため、健康に様々な悪影響を及ぼす活性酸素を除去し、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の増強、抗アレルギー作用、血管の保護、発がん性物質の抑制などの効果があるといわれております。

(資料提供/全国豆類振興会、公益財団法人日本豆類協会)

 

10月13日は「豆の日」について

~〘10月13日は「豆の日」、10月は「豆月間」〙~

 

「豆の日」の制定

全国豆類振興会では、美味しく健康的な食品である豆・豆製品の魅力を、消費者により一層理解していただくため、「豆の日」を毎年10月13日に制定し、この日を中心に、豆・豆製品関係業界において、様々な普及啓発活動を展開しております。

「豆の日」制定の由来

我が国は、古来から陰暦8月15日の「十五夜」と9月13日の「十三夜」の月を愛でて、月見をする風習があります。今でこそ月見のお供え物といえば「月見団子」が定番ですが、昔は、ちょうどその季節に収穫される作物として「十五夜」には里芋を、「十三夜」には豆をお供えして食べる習慣があったことから、「十五夜」は「芋名月」、「十三夜」は「豆名月」と呼ばれています。

「豆の日」は、このような「豆名月」に豆を食べる風習に因んで制定されましたが、陰暦9月13の「十三夜」は、新暦では年によって日付が変動してしまうため、日付は月遅れの新暦10月13日とされました。

よって、全国豆類振興会では、「豆の日」を毎年10月13日に制定し、毎年10月を「豆月間」としました。

豆の日ポスター

【詳しい情報はこちらから】

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「豆の日」普及推進協議会     URL:http//mame-no-hi.jp

(事務局:全国豆類振興会内)

〔参考文献〕

・資料提供:公益財団法人日本豆類協会、一般財団法人全国豆類振興会

・2006.食と健康に関する辞典

・株式会社日本食品新聞社新聞記事